首取り様2
両手で地蔵の首を抱きしめて離さない。


「佳奈、少し落ち着いて話ができる場所へ移動しよう」


明宏が佳奈の腕を掴んで地蔵から引き離そうとする。


それでも佳奈は動かなかった。


「嫌!! 私は慎也の首を持って帰るの! じゃないと慎也は……!!」


勢いでそこまで言って口を閉じた。


首を持って帰らないと、慎也がどうなるのか?


まさか死――?


そこまで考えて強く左右に首を振って自分の考えをかき消した。


そんなことない!


慎也が死ぬなんて、そんなことありえない!


気がつけば止まっていた涙がまた溢れ出していた。


地蔵の上にポタポタと落ちてシミを作っていく。


「佳奈。きっと大丈夫だから、ね?」


美樹がやさしく佳奈の手を握りしめる。


なにを根拠にそんなことを言っているの?


そう怒鳴りたかったけれど、嗚咽で言葉はかき消されてしまった。


その代わりにヨロヨロと立ち上がり、美樹に支えられながら歩き出したのだった。
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