首取り様2
ただ静かな空間に大輔が1人が佇んでいる。


しばらく慎也の肩に手を乗せていた大輔は上を向いて大きく息を吸い込んだ。


微かな血の匂いと、生の匂い、そして強烈に死が身近にある匂いが混ざり合っている気がした。


大輔は目に膜を貼った涙を鼻水と一緒に思いっきり吸い込んで、そして慎也へ視線を戻した。


その目にはもう涙は滲んでいなかった。


「ちゃんと、元通りにしてやるからな」
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