首取り様2
「うん」


佳奈は懐かしそうに目を細める。


夏休みに入る前に『来月の新刊も絶対に買うんだ』と言っていたことを思い出す。


その新刊はもう発売されて、買ったんだろうか?


ほんの数週間前のやりとりなのに今では遠く昔のことのように感じられる。


まるで夢の中の話しみたいで、また少しだけ涙が滲んできた。


女子3人でどうにかクローゼットの中を片付け終えると、明宏が慎也の布団をはぐった。


見えている首の切断面に丁寧にタオルを巻いていく。


血は止まっているがタオルはピンク色に染まっていった。


その間に佳奈はクローゼットの中に毛布を敷いておいた。


慎也の体をそのまま寝かせることになんだか抵抗があったのだ。


「よし、これでいいぞ」


明宏に言われて佳奈は慎也の体に近づいた。


「悪いな。俺がこんなんだから」
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