首取り様2
2人共体力は回復していないが、呼吸は随分と楽になってきていた。


走りすぎて肺が苦しかったけれど今ではそれも楽になっている。


「行ってみよう」


2人が同時に立ち上がったとき、狭い路地にも朝日が差し込んだ。


「え、嘘!?」


日の出まではまだ少し時間があるはずだ。


そう思ってスマホで時刻を確認する。


いつの間にか時間は進み、すでに5時を過ぎているのがわかった。


途端に郵便配達員のバイク音が遠くで聞こえてきて、佳奈と春香は目を見交わせた。


慌てて明宏を探しに公園へ向かうと、そこには公園の入口で座り込んでいる明宏の姿がった。


「明宏!」


声をかけて駆け寄ると、明宏は呆然とした顔を持ち上げた。


足元にはナイフが落ちていてここまできてまた黒い化け物に遭遇したのだということがわかった。
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