首取り様2
「退治はできなくてもひるませることならできるかもしれないよね」


ナイフ一突きで弱ってしまう化け物だ。


爆竹を浴びせることも効果的かもしれない。


「じゃあ、これも買っておこう」


カゴに爆竹を入れていく春香を横に、佳奈は手持ち花火の袋を見つめていた。


3つのガイコツを発見した日、みんなで花火をしたときのことを思い出す。


ほんの数日前のことなのに、それは大昔にあった出来事のように思われた。


慎也の自宅の庭で手持ち花火を持って、大輔と慎也は追いかけっこをしていたっけ。


明宏と美樹の2人はしっとりと線香花火をしていた。


あのときはまだこんなことになるなんて予想すらできていなかった。


ガイコツの数が足りないことが気がかりで、それでも慎也がいてくれたからどうにかなると思えていた。


その慎也が、今はいない。


首のなくなった体だけの姿を思い出すと胸が苦しくて、呼吸ができなくなってしまいそうだ。
< 99 / 194 >

この作品をシェア

pagetop