ボレロ  ~智之の母、悦子の章

「それから 時々 校内で会うと 笑顔で 挨拶するようになったけど。あの頃の大学生って みんな 奥手で幼稚だったのよ。今の子達からは 考えられないくらい 純情で。私、お父さんのこと 感じの良い人だなって 思っていたけど。自分から 近付くなんて できなくて。多分 お父さんもね。近付いて お互いを知らないと 何も始まらないのにね。」


「もしかして お母様も 一目惚れだったんですか?」


お母様の ほのぼのと 幸せそうな表情が 嬉しくて。

私の言葉に お姉様は クスクス笑いながら言う。


「一瞬の 両想いだったのよ。ねぇ お母様。」


「もう。本当に イヤな子達ね。続き、話さないわよ。」

お母様は お姉様と私を 交互に見て 笑う。


「嘘、嘘。ごめんなさい。」

「私も。その後 どうなったんですか。」


女3人で話す 華やかで 幸せな時間。


こんなに 幸せだから…

私達は もっと お互いを 知りたくなる。










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