彼、予約済みです。
第二章【好きなのに】

第一節【好きな気持ちと勇気】

湊さんの言っていることの意味がわからなくて固まってしまう。

「み、湊さん、それって⋯⋯」

「うん、俺さ、日南さんのことずっと気になってたんだよね」

気になっていた。

その言葉が嬉しくて飛び上がりそうになる。

「日南さんは、俺じゃ、嫌?」

湊さんの上目遣いに心臓がやられそうになる。

そして、ありえないことの連続で頭がパンクしそうになった私は「えっと、えっと⋯⋯ごめんなさいー!」そう言って逃げた。

翌日学校。

昨日の後悔に押しやられて私は項垂れていた。

今朝の電車では湊さんのことを見ることができなくてずっとスマホの画面を見つめていた。

「なんで逃げちゃったの私⋯⋯湊さんが折角⋯⋯ああ⋯⋯」

そんな私の様子を見ていたすみちゃんは容赦なくこう言った。

「もったいないことしたよね、実栗」

その言葉がとても痛いです。

すみちゃん。

「もうやめて⋯⋯私のHPは0だよ⋯⋯」

「回復方法は?」

「ない⋯⋯このまま死ぬの⋯⋯」

冗談交じりにこう言うけれど、かなり辛い。

「なんであんなことしちゃったんだろ⋯⋯」

後悔が止まらない。
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