彼、予約済みです。
一日中落ち込んでいた私を見かねてか、すみちゃんは放課後遊びに行こうと誘ってきた。

「遊んだら嫌なことも吹っ飛ぶよ!」

それには一理あったのですみちゃんの誘いに乗ることにした私はすみちゃんと校門に向かって歩いていた。

「何する何する?やっぱりプリは撮らなきゃだよね〜」

まだ気分が沈んでいる私とは裏腹にすみちゃんはノリノリだ。

「あれ?なんか校門の方が騒がしくない?」

すみちゃんにそう言われて見てみると確かに少しザワついていた。

「ねぇねぇ、どうしたのー?」

近くにいた同じクラスの子にすみちゃんが声をかける。

「あっ澄空ちゃんと実栗ちゃん。あのね、なんか大学生の男の人が校門の前に立ってるんだって」

大学生の男の人。

その言葉に一瞬湊さんが浮かんだけれど、いるわけないのでその考えはすぐに消した。

「ふーん?まあうちらには関係ないことか。行こ、実栗」

「あ、うん」

そう言うすみちゃんに手を引かれて校門を出る。

そのまま歩いていこうとすると、不意に後ろから手を掴まれた。

「えっ?」

びっくりして振り返るとそこにいたのはいるはずのない彼。

昨日私が逃げてしまった人。

「日南さん」

湊さんがそこにいた。
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