彼、予約済みです。
第一章【名前も知らない人】
第一節【見ているだけでよかったのに】
朝7時45分。
いつも同じ電車に乗る私は今日もドアの近くに立っている男性を見つめていた。
背が高く整った顔立ちをした人。
私と同じように毎朝同じ時間、同じ車両に乗っている。
年齢は大学生ぐらいで私が降りる駅の1つ前で降りる。
「次は、桜陽大学前、桜陽大学前ー」
駅が近づいてきたようで、アナウンスがかかる。
毎朝彼を見つめるのが私の日課だ。
バレたら変な女だと思われるだろうけど。
「そんなに好きなら声掛けたらいいのに」
友達のすみちゃん、夏本澄空ちゃんに彼のことを話すと呆れたようにそう言われた。
「それができたら今頃そうしてる⋯⋯」
だいたいあんなかっこいいあの人の隣に立つことなんて私にはできない。
「ああいう人の隣は私じゃなくてもっと綺麗で大人っぽい人の方が似合うよ」
「ふーん?」
彼と違い私はまだ高校生。
どっちにしろ釣り合わない。
「実栗は可愛いから自信持てばいいのになあ」
すみちゃんはこんな私にいつもそう言ってくれる。
「そうだ!実栗、合コンしてみない?」
いつも同じ電車に乗る私は今日もドアの近くに立っている男性を見つめていた。
背が高く整った顔立ちをした人。
私と同じように毎朝同じ時間、同じ車両に乗っている。
年齢は大学生ぐらいで私が降りる駅の1つ前で降りる。
「次は、桜陽大学前、桜陽大学前ー」
駅が近づいてきたようで、アナウンスがかかる。
毎朝彼を見つめるのが私の日課だ。
バレたら変な女だと思われるだろうけど。
「そんなに好きなら声掛けたらいいのに」
友達のすみちゃん、夏本澄空ちゃんに彼のことを話すと呆れたようにそう言われた。
「それができたら今頃そうしてる⋯⋯」
だいたいあんなかっこいいあの人の隣に立つことなんて私にはできない。
「ああいう人の隣は私じゃなくてもっと綺麗で大人っぽい人の方が似合うよ」
「ふーん?」
彼と違い私はまだ高校生。
どっちにしろ釣り合わない。
「実栗は可愛いから自信持てばいいのになあ」
すみちゃんはこんな私にいつもそう言ってくれる。
「そうだ!実栗、合コンしてみない?」