彼、予約済みです。

第二節【いくらでも待つから】

一世一代の告白。上手くいくだろう、と思った。

「ご、ごめんなさいっ!」

返ってきたのは期待していた通りの言葉ではなく、真反対の言葉。

ああ、苦い。

さっき飲んだコーヒーのせいだろうか。

格好つけて飲まなければよかった。

何が甘いものは苦手、だ。

大好きだろ。

訳が分からずそんなことを考えていると、日南さんが慌てて返事について説明してきた。

「私、自信が無いんです。勇気もないんです。湊さんの隣に立つ自信も勇気も。だいたい、付き合うなんて考えたことなくて、その、だから⋯⋯」

「⋯⋯俺のことが嫌なわけじゃないの?」

「全然っ!寧ろ、その⋯⋯」

その言葉にしょげていた心が立ち直る。

俺ってこんな単純だったんだ、と思いながら俺は言った。

「俺、待つよ。日南さんが俺と付き合う気になるまでいくらでも」

俺だって付き合えるなんて最初は思ってなかったんだ。

日南さんのことをよく知らなかったころに比べたら待つことなんて屁でもない。

「で、でも⋯⋯私なんかより他の人探した方が」

その言葉にムッとする。

「やだ。俺は日南さんがいいの」

その言葉に日南さんの顔が真っ赤になる。

耳まで赤くするなんて、なんて可愛いのだろうか。

「これからよろしくね、日南さん」
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