彼、予約済みです。

第四節【二人きりの電話】

夜。私はスマホの前で正座をしていた。

(夜に連絡っていつなんだろう⋯⋯。わからないから動けないよーっ!)

そう悩んでいると、スマホの着信音が部屋に鳴り響いた。

「は、はいっ!」

『あ、日南さん?』

「ひ、日南です!」

慌てすぎて変な返答をしてしまう。

『はは、慌てすぎ。落ち着いて』

無理です。

耳元で湊さんの声を聞いて落ち着くなんてできないです。

『今日、来てくれてありがと。練習しているところを見てもらえなかったのは残念だけど。』

そう、あれ以上大学にいると帰るのが遅くなってしまうので早々に帰ったのだ。

「⋯⋯私も、湊さんがバスケしているところ見てみたかったです」

私ってこんなに自分の気持ちを素直に言えるような性格だったかと一瞬考える。

多分恋をして、湊さんと出会って少し変わったのだろう。

「⋯⋯湊さん」

『んー?』

「私、湊さんのこと好きです」
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