彼、予約済みです。
『ゴホッゴホッ!』

電話の向こうで湊さんが咳き込んでいるのがわかる。

「だ、大丈夫ですか!?」

『う、うん。ちょっとむせただけだから』

何かむせるような物を食べていたりしたのだろうか。

と、不思議に思う。

『なに?俺と付き合う気になった?』

「いや、それはまだなんですけど」

『えー!?』

残念そうな湊さんが面白くてクスリと笑ってしまう。

『あ、今笑ったでしょ』

鋭い。

「⋯⋯私、湊さんと出会って変われた気がします。今までの私だときっとこんな素直に話せてなかったでしょうから」

『いいのか悪いのかどっちなんだ⋯⋯?』

その言葉の意味がわからなくて黙っていると、湊さんがこう言った。

『もう今日は遅いから寝ようか。春とは言ってもまだ肌寒いからちゃんと暖かくして寝るんだよ』

「はい。おやすみなさい」

『ん、おやすみ』
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