彼、予約済みです。
そう言って湊さんが切ってくれるのを待っていたけれど、切れる気配がない。

『ぶはっ。早く切りなよ。俺からは切る気ないし』

「ええっ!?」

道理で中々切れないはずだ。

どっちも待っていたらそりゃ切れない。

「わ、私が切るんですか?」

『そうだよ?』

私からこの電話を切る。そんなことができるのか。

『⋯⋯実栗ちゃん』

「へ?」

今日、しばらくは呼び名はこのままでいこうと話したはずなのに。

『好きだよ』

その言葉に一気に顔が熱くなっていく。

「き、切りますから!おやすみなさいっ!」

全く、どういうつもりかわからない。
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