彼、予約済みです。
「ハルー、浮き輪膨らませてー」

まず海で遊ぼうという話になり、すみちゃんは持ってきていたらしい浮き輪を手にハルさんに助けを求めていた。

「おう、任せておけ!」

その一連の流れを見ていると横に立っていた湊さんが私に尋ねてきた。

「日南さんは浮き輪、必要ない?」

「確かにないと少し不安ですけど⋯⋯多分大丈夫です!」

浮き輪がある方が安心感はあるだろうけど、忘れてしまったものは仕方ない。

「俺、こんなもの持ってるんだけど」

そう言う湊さんの手には既に膨らんだ浮き輪があった。

「日南さんが喜ぶかなーっと思って。どう?」

いたずらに笑う湊さんにドキッとする。

この人はなんでこんなに優しいのだろうか。

「嬉しい、です。ありがとうございます」

「どういたしまして!」

心臓がうるさい。

日々好きが更新されていく。
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