彼、予約済みです。
その日の帰り、私とすみちゃんは合コンで着る服を買いに行くため、私がいつも乗っている電車に一緒に乗っていた。

「楽しみだねー、合コン!」

「ちょ、すみちゃん声大きいよ〜」

朝より人は少ないとはいえ、乗っている人はチラホラいるので周りの視線を気にしてしまう。

「次は、桜陽大学前、桜陽大学前ー」

そのアナウンスに思わずドキリとする。

彼はいないのにアナウンスに反応してしまう。

そんなことを考えているといつの間にか電車が止まっていた。

「えっ⋯⋯」

自分の目を疑った。毎朝同じ電車に乗る彼が乗り込んできたのだ。

「どうしたの?実栗」

「す、すみちゃんどうしよう⋯⋯あの人が、あの人が⋯⋯」

「あの人?」

私の視線の先をすみちゃんも見る。

そしてどういうことかわかったようだった。

「ははーん、あの人ね」

そう言ってしばらく考え込むとすみちゃんは口を開いた。

「あー、楽しみだなー!実栗の初めての合コン!」

「ちょっ、すみちゃん声大きいって!」

そんな大声を出されると周りの人の迷惑にもなるし、何よりあの人に見られてしまう。

「いいじゃん、どうせもう諦めるんでしょ?」

「それはそうだけど⋯⋯」

彼のことが気になりチラッと彼の方を見てみると目が合った。

「っ⋯⋯!」

だけどやっぱり恥ずかしくてすぐに逸らしてしまった。

「失礼だったかな⋯⋯」
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