短編小説集
いちごミルク味
「ん?何かいい香りがする…、イチゴ?」
「あ!いちごミルク味の飴、舐めてたの。ゴメンね、そっちまでニオイが行っちゃった?」
えへへっと、前の席に座る彼に笑った。
瞬間…
彼の顔が私へと寄せてくる。
あまりにもビックリして目が瞬いた。
彼の吐息が私の唇に触れ、私の顔が真っ赤に染まる。
「な、ち、近いよ!」
「…ん、良い香り。……もっと話して」
「バカッ!」
「ブッ!」
あまりの恥ずかしさに私の手の平が思いっきり、彼の鼻を叩いた。
何よもぉ〜!
何でこの人はいつも私を揶揄うの⁉︎
悶えていると…
ツンッ…
頭を軽く突かれ、チラッと視線を彼へと向ける。
「可愛い」
微笑む彼に、バフンと心臓が飛び出しそうになった。
< 1 / 35 >