短編小説集
こびとずかん・伝説の黒ももじり


オッス!オイラ伝説の黒ももじり!

みんなしってっか?
知らねぇのか?
ま、そりゃそうだよな。
なんたって伝説だもんな!

オイラ達種族は、こびと図鑑ってのに載ってんだぜ。
昔、一世風靡したあの伝説の図鑑だ!

しかもオイラ、あの図鑑には載っていない、誰もまだ見つける事の出来なかった伝説中の伝説のコビトなんだ!

…伝説なのはスッゲエうれしいんだけどよ、そろそろ誰かオイラを見つけてくんねーかな?

寂しいんだよーーー

オイラは今まで生きてきてずっと、誰とも話した事がない、誰にも見られた事がないんだ。

本当に寂しいんだよーーー
あ!目から水が…

みんなが羨ましい。
人間に捕まえられたコビトのヤツらはみんな、ジタバタしながらもどこか嬉しそうにしているのをオイラは傍でひっそりといつも見ていたんだ。

ウラメシそうにーーー


誰かオイラを早く見つけてくれ!
オイラはここだ!

でもオイラは…
黒ももじりーーー

影のように黒く、そして残像の様に見えるからか、オイラでさえ自分の姿を見た事がないんだーーー
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