短編小説集
言ってはいけない言葉
「アナタが好き…」
「アナタ…が、好きなの…」
そっと言葉にしてみる、彼の前では言ってはいけない言葉。
この言葉を口にしたら、私達の関係が崩れてしまうのは分かっているから…
だから、言えない。
だから、言わない。
でももう、溢れ出てくるこの想いを止められなくて…
だから、せめて。
だから、少しだけ。
アナタの前では言わないから、吐き出させて。
「アナタが…、好きです」
何かが頬を伝った気がした。