首取り様3
その目は智子を蔑み、軽蔑するものだった。


『違う! 私が盗んだんじゃない!』


きっと栄子と和子がやったことだ。


あの2人が智子に罪を着せたことは、今までに何度もある。


今回もそれを同じだ。


そう言いたかったけれど、言葉にはならなかった。


ここは教室内で自分の味方はどこにもいない。


そして栄子と和子がこちらを見ているのだ。


そんな状況で2人の名前を出せば、『罪をなすりつけられた』と泣き叫ぶに決まっている。


そうして智子の立場は更に悪くなっていくのだ。


『そのペンがブランド物だって知ってたよね?』


つい最近まで仲良くしてくれていたクラスメートが横から声をかける。


確かに、友人が持っているペンは高級品だった。


けれどブランドのマークがついているからそんなの誰でもわかるはずだ。


智子はなにも言えずに下唇を噛み締めてうつむいた。


『それで盗んだの?』
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