首取り様3
その時は大して気にしなかったが、夕飯時になってその笑みの意味を知ることになった。


先に先輩たちが食べ終わった後席についた1年生たちだったが、そこに出されたのかどう考えても多すぎる量の白米だったのだ。


それを見て誰か大食いでもするのかと最初は笑っていた。


けれどサッカー部の先輩がそこに現れて『サッカー部の1年生で全部食え。絶対に残すな』と言い渡されて、これはそんな楽しいものではないのだと気がついた。


寮生の中でサッカー部員の1年生は5人。


それに対してご飯の量は10キロはあった。


それでも食べきることができていたのは、部活動をしていたからだと言える。


先輩からのそれが嫌がらせだと気がつくより先に、今度はサッカー部の1年生にはサラダのドレッシングが回って来なくなった。


先輩に『ドレッシングを貸してください』と言った強者もいたけれど、そいつは1日中寮内の掃除を押し付けられていた。


休日練習のときなどひどかった。
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