首取り様3
そんな中で亮一は顧問の先生に呼び出されたことがあった。


倉庫内だったので、備品の整理とかボール磨きを言い渡されるのだと思っていた。


しかし、亮一が呼ばれたのは全く別の理由だった。


倉庫に入ってきた亮一を見て、顧問はマットの上から立ち上がった。


口元に微かに笑みを浮かべて近づいてくる。


少し嫌な予感がして後ずさりをしたけれど、逃げ出すことは許されない。


今までの経験から亮一は逃げるという選択肢を失っていたのだ。


亮一のすぐ目の前まで来たサッカー部顧問は顔を近づけてきた。


タバコ臭い息が亮一の顔にかかる。


『お前、あの家の子供らしいな』


それはとても小さくて、他の誰にも聞こえないような声だった。


けれどその言葉を聞いた瞬間、亮一の体は電流が打たれたように痛みが走った。


『すげぇなぁ。あの家の子供がここにいるなんてよ。だってお前の家……殺人一家じゃんよぉ?』


亮一の全身の血がカッと沸き立つのを感じた。

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