首取り様3
このクソジジィと今すぐ黙らせたいという衝動に駆られて、拳を強く握りしめる。


力を込めすぎて短い爪が手のひらに食い込んでいく。


『よく学校に来れてるよなぁ』


ハハハッ! と楽しげな声を上げて笑う顧問。


顧問の言ったことは決して触れてはいけないことだった。


誰にも知られてはいけないし、知っていても気軽にこうして話してはいけないタブーだった。


そのくらいのこと、誰でも知っていることだった。


それなのにこの顧問は面白がり、事あるごとに亮一を呼びつけてはその話をした。


そして亮一を支配下に置いたのだ。


あのことを知っているのなら抵抗はできない。


サッカー部にいられなくなる可能性だってある。


だから、我慢するしかなかったのだ。


それから今でもずっと、顧問からの嫌がらせが続いていても……。
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