首取り様3
少なくても、高校に入学した後の智子にとってはそうだった。


なにもしていなくても蔑まれ、疎まれて、邪魔者扱いを受けてきた。


イケニエに選ばれた今回の5人は学校で浮いている生徒たちの集まりでもあった。


みんなといれば自分だけが異質なのではないとわかる。


みんなといればここに自分の居場所があるとわかる。


夏休みに入ってから奇抜な髪色や派手なメークをしはじめたのだって、このメンバーで決めたことだった。


学校にいるときには絶対にできないことをしてみよう。


そう、決めていたのだ。


もし派手な格好をしているときに他の生徒にバッタリ出会うことがあったら、それはそれで楽しそうだった。


新学期から自分たちを見る目が変わるかも知れないという期待も、ほんの少し持っていた。


「だけど、友達なんでしょう!?」


佳奈が泣き出してしまいそうな悲痛な悲鳴を上げた。


その反応に智子が一瞬ひるむ。


しかしそれは、本当に一瞬の出来事だった。
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