首取り様3
閉館時間まであとどのくらいだろう?


ふと佳奈が顔を上げて柱時計へと視線を向ける。


時刻は6時を過ぎていてあの数十分で閉館してしまう。


「ねぇ、今日はこのくらいにして明日にしない? 読みかけの本は借りて帰ろうよ」


図書館の人たちに迷惑をかけてはならないと感じて、春香がそう提案した。


春香も随分と疲れてしまったようで目の下にうっすらとクマができている。


地蔵のイケニエとなってからみんなそれほど休めていないのだから、仕方ないことだった。


「そうだね。今日はゆっくり休んだ方がいいのかも」


ここ数日全力で走り続けてきた疲れが、ここに来て一気に押し寄せて来ている感じた。


昨日は首探しもしていないし、気が抜けてしまったのかもしれない。


佳奈はまだ調べたい気持ちもあったけれど、春香に賛同した。


こういう時に更に無理を重ねればいい結果を招かないと、すでにわかっていた。


「ちょっと待ってくれ。ここに記述になにかヒントがありそうなんだ!」


明宏が読んでいるのはとても古いファイルにはいった資料だった。


ファイリングされている用紙はどれも茶色く変色していて、ところどころ文字がかすれて読めなくなってしまっている。


それだけでかなり年代ものの資料だということがわかった。


明宏は食い入るように資料を見つめてどんどんページをめくっていく。
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