首取り様3
そして5体目の首を見つけたシーンでは、地蔵たちはみんな笑顔だった。


最後の首は丘の上にあり、夕焼けに染まる街を見下ろしている。


「絵本だから街を壊滅させるラストシーンなんて書かないんじゃない?」


横から絵本を見ていた春香が言う。


しかし明宏は絵本の中に隠されている事実を見つけていた。


「いや、街は壊滅してる」


「え?」


佳奈は首をかしげて絵本の最後のページを見つめた。


それはどう見ても、丘の上に立つ地蔵たちが街を見下ろしている絵だ。


「街がオレンジ色に染まっているのは夕日のせいじゃない。爆発が起こっているんだ」


明宏に言われて佳奈たちは目を見開いた。


「街が爆発?」


「ほら、ここ」


明宏が指差したところは太陽の中心だった。
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