首取り様3
そこから街はオレンジ色に染まっている。


だから、佳奈たちはこれが夕日だと考えたのだ。


「太陽はこっち」


明宏が指を本の隅へと移動させた。


それは空の一番隅の方に描かれた黄色い丸だった。


よく見ないと気が付かないほど小さく、オレンジ色に隠れてしまっている。


「え、これが太陽? じゃあ、このオレンジ色の光は?」


佳奈が混乱して聞く。


「オレンジ色の中央でなにかが爆発を起こしてるイラストだ。子供向けだからそこまで気が付かないそうに描いたんだと思う」


明宏は早口に説明した後、スマホを取り出してテーブルに置いた。


画面にはファイル内にあった資料が表示されている。


「寝る前に少しずつ読み進めていたんだ。このファイルには気になることがまだまだ書かれていた。子供たちがイケニエになった明治45年。不思議なことが起こっているんだ……」
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