首取り様3
それどころか人よりも勤勉に働き、しっかりと動いていたはずだった。


長はどうにか動かすことのできる目玉だけで妻の方へ視線を向けた。


さっきから布団の動きばかりが見えていて、その顔を確認することができていなかったのだ。


そして顔を見た瞬間長は呼吸をすることも忘れてしまった。


布団から出ているはずの妻の顔が、ないのだ。


暗闇で見えないのではない。


白い首までは布団から出ているのは見える。


けれど、その先が見えないのだ。


ぎゃああああっ!!


悲鳴は喉まで出かかって、けれどやはり声になることはなかった。


妻の首がなくなっているという事実を知った直後、長は自分の胸の上に5人の子どもたちが座っているように見えた。


透けた体が重なり合うようにして乗っかっっている。


しかし、それをしっかりと確認するより先に、意識を失っていたのだった。

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