首取り様3
☆☆☆

長が変死したことは翌日街中に知れ渡ることとなった。


発見したのは妻で、朝目が覚めたらすでに息がなかったということだった。


ただ、妻が夜中に一度目を覚ましたとき5人の子どもたちが部屋から出ていくのを見たと証言した。


その後ろ姿はイケニエになった子供たちそっくりだったという。


しかしその証言については妻が日頃からイケニエについて気にしていたことで妙な夢を見たのだろうということで聞き入れてもらえなかった。


『あの子たちが戻ってきたに決まっているのに。それで夫を連れて行ってしまったんだ』


妻は親しい友人らにそう話して回った。


その話を信じる者もいたけれど、ほとんどの者が妻は狂ってしまったのだと判断して相手にしなかった。


そんなことがあったある日のことだった。
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