首取り様3
「あの地蔵はイケニエになった人たちのために作られたと思っていいだろうね。ここに三福寺の名前も出ているし」


明宏が指差した箇所を読んでみると、三福寺が儀式に協力していたことが記載されている。


佳奈は祖母から貰ったお守りのことを思い出してキュッと胸が痛くなった。


「でも、イケニエになった人たちって5人だけってわけじゃないよね?」


春香が首をかしげて聞いていた。


お祭りは数年に1度の単位で行われていたようで、その度に5人のイケニエが差し出されている。


「地蔵の数が少な過ぎない?」


春香の疑問はもっともだった。


イケニエになった人たちのために地蔵を作るのではあれば、全員分の地蔵が立てられていたもおかしくはない。


しかしこの街で首無し地蔵はあの5体しか見たことがなかった。


「他の人たちは別の方法で祀られているんじゃないかな? 当時は三福寺があって、墓地だてちゃんとあっただろうし」


明宏が答える。


しかしそれが正しければまた疑問が浮かんでくるのだ。
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