首取り様3
しばらくそのままの状態で動けずにいると、部屋にノック音が聞こえた。


とっさに慎也から離れてクローゼットを閉める。


手の甲で涙をぬぐって「誰?」と、訪ねた。


おずおずと部屋に入ってきたのは春香だった。


「佳奈、大丈夫?」


佳奈がいなくなったことを心配してきてくれたようだ。


佳奈は微笑んで頷く。


「泣いていたってどうしようもないのにね。どうしても涙が出るの」


「そうだよね……」


春香と佳奈は慎也のベッドに寄り添うようにして座った。


「明日には4つ目の首がついているかもしれないんだもんね」


佳奈はヒザの上でギュッと拳を握りしめる。


このまま地蔵に首が付き続けたらどうなるのか。
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