首取り様3
「きっと大丈夫だから」


春香に手を握りしめられたが、佳奈はとっさにそれを振り払っていた。


春香が遠ろいた表情で佳奈を見つめる。


佳奈は自分がしてしまったことが信じられなくて、自分の手を見つめた。


「ご、ごめん。私……」


「ううん。佳奈は悪くない」


春香はそう言いながらも泣き出してしまいそうに顔を歪める。


どうして春香の慰めを素直に聞き入れることができないのか?


そんなの答えは簡単だった。


大輔が無事だからだ。


慎也と美樹だけ首が取られ、だけど大輔と春香はどちらも首を取られていない。


そんなこと気にしていないつもりだったけれど、心の、自分でも気が付かないような場所で佳奈はずっと気にしていたのだ。


それが思わず態度に出てしまった。


「ごめん。私、行くね」


「春香!」


引き止める佳奈を無視して、春香は部屋を出ていったのだった。
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