首取り様3
☆☆☆

夕飯の準備ができたと明宏が声をかけてくれても、佳奈は慎也の部屋から出なかった。


食欲はなかったし、どんな顔をして春香に会えばいいのかわからなかった。


春香はきっと傷ついたはずだ。


佳奈はベッドの上で自分のヒザを抱えて横になった。


ずっと仲が良かったのに、こんなことになって友人関係が崩れていく。


この悪夢が本当の終わりを告げた時に自分たちは元通りになれるんだろうか?


怖くて全身が震えた。


大きな困難を一緒に乗り越えた仲間の絆はきっと深くなる。


けれどそれまでには裏切りや疑心暗鬼がつきものだ。


それをどう乗り越えて行けば良いんだろう?
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