首取り様3
「収穫からあった」


沈黙を破ったのは明宏だった。


「なに?」


ガイコツを発見した以外になにかあっただろうかと、佳奈が聞く。


「空き家へ行ったとき玄関に表札があるのが見えたんだ」


「そんなのあったか?」


大輔が首をかしげている。


佳奈も春香も表札の存在には気が付かなかった。


家の顔とも言える表札だけれど、すでに空き家になっていたためなかったように覚えている。


「玄関にかかっていたんじゃない。地面に落ちてたんだ」


そう言われて佳奈は頷いた。


普通表札は掛けられているものだと思いこんでいるから、地面に落ちている状態の表札を見落としてしまっていたのだ。


「名字が書かれてた」


全員の視線が明宏へ向く。


「石原という名字だった」
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