首取り様3
そんなのは当然の考え方だった。


多少の犠牲のおかげて街の人たち全部が助かるので、イケニエとして選ばれる人たちもそれを誇りに感じているものだった。


『では、盛大に盛り上がるように計らおう。そうすることできっと神様も喜んでくれる』


そして考え出されたのが、今回のイケニエには年齢制限をつけないということだった。


当然街人たちの中には不安がる者も出てきた。


自分の小さな子どもたちが万が一にでもイケニエに選ばれることがあったらと、小さな子どもを持つ両親は気がきではなかった。


『そんなことをしてほしくて言ったんじゃありません』


ある夜、長の妻は長くてしなやかな髪の毛を腰までたらし、悲しげな表情を浮かべて言った。


すでに布団に入っていた長は眠気に襲われながらも目を開けて、妻の言葉に耳を傾けた。


『しかし、儀式の中心は神にある。神が喜ばない儀式などできない』


長の言い分は理解できた。
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