首取り様3
☆☆☆

それから10分後、佳奈と春香は大急ぎで着替えをして玄関先に集合していた。


明宏の言うように今のイケニエに会って話をすることができれば、またなにかヒントを得ることになるかもしれない。


それが無理だとしても、探し場所のめあすを相手に教えることもできる。


最も、今イケニエになった人たちは別次元の同じ空間にいると考えた方がいいけれど。


「よし、行くか」


全員集まったところで大輔が大股に玄関から外へ出た。


今日は満月のようで街灯がなくても周囲はとても明るい。


「まるでいつもの夜中みたいだな」


歩きながら明宏が警戒心をむき出しにして周囲を見渡している。


確かに、道には野良猫一匹見つからず物音ひとつ立たない。
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