首取り様3
自分たちの足音がやけに大きく聞こえてくるほどだ。


今日は武器を持参してこなかったけれど大丈夫だろうか。


そんな不安に苛まれる光景だ。


それから先は4人共無言であるき続けた。


歩けば歩くほど、この夜は本当に普通の夜なのか不安になってくる。


それくらい静かで生き物に出会わない夜だった。


そして地蔵が見えてきたとき、先頭を歩いていた大輔が足を止めていた。


それに釣られるようにして全員が足を止める。


「おい、見えるか?」


大輔に聞かれて佳奈たちは頷いた。


地蔵の前に3人の若者が座って談笑しているのだ。


3人は地面にブルーシートをひき、酒とツマミに手を伸ばしている。


花見にしては時期が違いすぎるし、なにかの祝い事だとしてもこんな時間に地蔵の前でやるのはおかしすぎた。


4人は互いに目を見交わせて警戒心を強め、再び歩き出す。
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