首取り様3
☆☆☆

まさかまた自分たちが首探しをすることになるとは夢にも思っていなかった。


誰もいない夜の街を1人で歩きながら佳奈は自分の体を抱きしめた。


黒い化け物は自分たちには襲ってこない。


そうわかっていてもやはり怖いものは怖かった。


どこからかあの黒い化け物が現れて、一瞬にして距離を詰められてしまうのではないかと、頭の中で悪い想像ばかりが広がっていく。


聞こえてくるのは自分の足音と息遣いだけで、今日は春香たちもそばにはいない。


これだけ完全に孤立していることは初めての経験だった。


春香たち3人もそれぞれ1人、懐中電灯とスコップを片手に首を探しているはずだ。


4人固まって探すよりもそっちのほうが遥かに効率的だからだ。


蒸し暑い夜に寒気を感じながら森の入口へと足をすすめる。
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