首取り様3
「ここにはないのかな……」


更に30分ほど辛抱強く森の中を探し回り、諦めて足を止めた。


別の場所へ行って探すのを手伝ったほうがいいんだろうか。


そう思って懐中電灯を持つ手で額に滲んだ汗を拭った。


その時だった。


不規則に動いた懐中電灯の明かりの中に、大きくて丸い岩が浮かび上がったのだ。


それを見た瞬間佳奈はハッと息を飲んだ。


その岩には顔がついており、こちらを向いて固く目を閉じているのだ。


あった!!


驚いた次の瞬間には駆け出していた。


草木に足をとられそうになりながらも必死に走る。


首の前にヒザをついて確認してみると、それは女性の顔であることがわかった。


長いまつげに彫りの深い顔をしている美人だ。


これを持って地蔵へ行けば智子たちだって動かずにはいられないはずだ。


佳奈はふぅっと息を吸い込んで両手を伸ばす。


赤の他人の頭を持ち運ぶなんてと、体が拒絶しているのがわかる。


それでもやらないといけないことだった。


自分の両手が頭部に近づくにつれて全身に鳥肌が立った。

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