首取り様3
その時間すらももどかしい。


《佳奈:頭を見つけた! けれど触れることができないの!》


それにいち早く反応したのは明宏だった。


《明宏:それ、どういうことだ?》


《佳奈:わからない。頭だけに振れられないの。地蔵に持っていくことはできない!》


そのメッセージを送った後すぐに既読がついたが、返事はなかった。


佳奈はどうしていいかわからず立ち尽くす。


ひとまずここにいることは知らせておいたから、みんな来てくれるはずだ。


森の入口まで移動してしばらく待っていると、3つの懐中電灯の明かりが見えた。


佳奈は「こっち!」と声を上げる。


近づいてきた光は明宏たちのものだった。


「頭に振れることができなかったんだって?」


「そうなの」


頷きつつ、明宏たち3人を頭部のあった場所まで案内する。


そこに置かれている頭部を見て春香が微かに息を飲んだ。


明宏は頭部に近づいていくと躊躇することなく手を伸ばした。
< 89 / 142 >

この作品をシェア

pagetop