首取り様3
☆☆☆

最初から首を探す気になっていない人間を説得することなんてできるんだろうか。


佳奈は移動中ずっとその不安でいっぱいだったが、口に出すことはなかった。


それはきっとみんなも同じように感じていることだし、不安を煽るようなこともしたくなかった。


歩きながら時間を確認すると、あと20分で夜明けがくる。


地蔵へ行って説得して、首を持ってくる。


それだけの時間があるだろうか。


ずっと早足で歩いているせいか、不安のせいか、佳奈の背中にはジットリと汗が滲んできていた。


そしてようやく地蔵に到着したとき、3人はまだ拘束した黒い化け物へ拷問を与えていた。


最初佳奈たちが見た拷問は可愛いものだったようで、今は化け物の四肢は奪われて歩道に転がっている。


それでも化け物の急所を外して攻撃しているようで、四肢を失った状態の化け物はまだ生きていた。
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