首取り様3
☆☆☆

『智子、こっち来なよ』


学校の渡り廊下を歩いて昇降口へ向かおうとしていた智子を引き止めたのは、クラスでも派手系グループの栄子と和子の2人組だった。


2人は学校内でも構わず濃い化粧をしてピアスをつけて、髪色も変えていた。


その一方智子は模範的な生徒で制服はキチンと着て、ピアスも付けず髪色も黒から変えていなかった。


一見なんの接点もないように見える3人だが、智子はこのごろよくこの2人に話しかけられるようになっていた。


『え?』


時刻は放課後で、別館にある図書室へ本を返しに行ったところだった。


智子は立ち止まって2人を見上げる。


2人とも智子よりも5センチほど背が高く、横幅は智子の倍はありそうだった。


そんな2人に狭い渡り廊下を塞がれたらもう動くことはできなかった。


『ちょっと相談があるんだよね』


栄子はそう言いながら智子の腕を掴んで歩き出した。

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