首取り様3
これをきっかけにもっと仲良くなることもできるかもしれないし。


そんな気持ちだった。


『智子から返ってきたマンガ、これだよ?』


そう言ってカバンから取り出したのは表紙がビリビリに破れたマンガだった。


栄子が中を開いてみると、食べ物や飲み物のシミがこびりついている。


『知らない! 私、そんなことしてない!』


きっと栄子の勘違いだ。


智子は本を読むことが好きで、自分で購入した本も大切に扱っていた。


それなのに人から借りた本をそんな風に汚してしまうなんて、ありえない。


『なに言い訳してんの?』


後方から和子の低い声が聞こえきて血の気が引いていくのを感じた。


『でも、本当に私じゃなくて……』
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