首取り様3
声が震える。


どうしてこの2人が最近自分に話しかけるようになったのか、ようやく智子は理解したのだ。


『私が自分でこんなことをしたって言うの? すごく好きな作品だったのに』


栄子の声が涙に滲む。


まずい!


そう感じてドアへと駆け寄る。


しかし鍵が掛けられていて、モタモタしている間に和子に引き戻されてしまった。


どちらも筋肉質で華奢な智子なんて到底敵わない相手だった。


『ど、どうすればいいの?』


とにかく早くこの教室から出たくて、智子は震える声でそう聞いていた。


その瞬間2人が目配せをしてニヤリと笑う。


その笑みに強い寒気を感じて智子はうつむいた。


『ちゃんと弁償してよ。それで許してあげる』


栄子の言葉に智子は内心安堵していた。

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