首取り様3
マンガ一冊なら400円くらいだ。


そのくらいならまぁいいかと思ってしまったのだ。


智子は『わかった』と頷くとカバンからサイフを取り出した。


白色の二つ折りのサイフから500円玉を一枚取り出す。


栄子はそれを奪うようにして手にすると『さんきゅ』と一言残して教室を出ていってしまった。


1人教室に残された智子は呆然として2人の後ろ姿を見送る。


しかし、それは序章に過ぎなかった。


それからというもの栄子と和子は事あるごとに智子に文句をつけるようになっただ。


『さっきぶつかった時に制服が破れた』


『体育の授業の時に智子が前を走ったせいで、靴が使い物にならないくらい泥だらけになった』


それはどれもこれもこじつけで、事実とは思えないことばかりだった。


しかしお金を払うことを断ると栄子は大げさに泣いて見せた。


いかにも自分は被害者で、悪いのは智子であるかのように泣き叫び、それを和子が撮影するのだ。
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