俺にはくれないの?【短編】



「青山さんが知りたいんなら教えてあげる」


ゴクリと息をのむと、余計に緊張感が増してきた。



「俺に彼女はいないよ」

「……え?いないの?」

「うん。好きな人はいるけどね」



爽くんに好きな人。

彼女がいるという予想は外れたけど、好きな人がいるんなら……


本人から実際に聞いてしまったのだから、もうこの気持ちはあきらめるしかないのかな。



「その人を好きになったは去年の冬なんだけど。すごく一生懸命な子なんだ、何に対してもね。ほかの人がサボるような仕事も真面目にこなすような」

「そうなんだ……」


爽くんの表情や口調から、その人のことが本当に好きなんだと伝わってくる。




< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop