俺にはくれないの?【短編】
結局渡せずじまいで、放課後を迎え、部活を終えたころには18時を過ぎていた。
わたしのカバンの中には、1つだけ渡せていないブラウニーが入っている。
爽くんはまだ部活をやっているのかな。
少しだけグラウンドをのぞいていこうか。
そっと彼の姿を見てから、帰ろう。
そう思って、グラウンドをのぞいたのだけれど――
今日は早めに部活が終わったのか、誰もいなかった。
肩を落として、帰ろうとしたとき。
「青山さん?どうしたの?こんなところに」
もう帰っちゃったと思った。
そう思ったのに、制服姿の爽くんが後ろから現れたのだ。