俺にはくれないの?【短編】
わたしが爽くんを好きになったきっかけは、図書委員の仕事。
偶然にも去年わたしも爽くんも同じ図書委員になったのだ。
クラスは違ったから、一緒に仕事をすることはほとんどなかったのだけれど……
ちょうど12月の寒い日の3日間だけ、一緒に図書委員の仕事をしたことがある。
わたしが好きになったのは、その時だった。
「あ、青山さんだ」
今年も図書委員になったわたしは、この日の昼休みも仕事をしていた。
そこへやってきたのは、本を1冊手に持った爽くん。
「爽くん、また本借りに来たんだね。本好きだよね」
爽くんはよく昼休みに本を借りに来る。
思い返せば、わたしが当番の時は必ず借りに来ているかもしれない。