俺にはくれないの?【短編】
「あ、あの……!」
「なに?青山さん」
「今朝言ってた……ある人以外からのチョコは受け取らないって……彼女さんのこと?」
叶うはずなんてないから、気にしていないつもりだった。
でも、本当は気になって仕方がなかったんだ。
「青山さん、知りたい?」
少し意地悪そうな爽くんの笑顔は初めてだった。
わたしはどうして今聞いてしまったんだろう。
爽くんはどうして、そんなことを聞くんだろう。
湧き出た疑問の答えは出ないまま、このまま突き進むしかなかった。
「えっと、ちょっと気になったっていうか……」
少しうれしそうな表情の爽くんの顔は、太陽の光に照らされて余計に輝いて見える。