真面目な私は、チャラい彼に溺愛されてるみたいです。
「こよみ、俺の事夏川さんって呼んでるの?湊でいいよ」
「いやっ、夏川さんは夏川さんなんで」
男子を名前で呼ぶことに慣れていない私は、丁寧に断る。
「夏川さんは湊だよ?ほら、俺もこよみって呼んでるし」
「夏川さんの方が年上ですし」
「じゃあ、せめて敬語なくそ」
「いやっ、ダメです」
「頑固だねぇ」
私は父によく似ている。
無口で一人が好きで頑固な所。
そういえば、全然違和感なかったけど、私、彼に〝こよみ〟って呼ばれてるんだ。
そう呼ばれるのがとても新鮮。
なんか、嬉しいような。いやっ、そんなことない。
初対面からこれはさすがに図々しい。
同居始めて一時間で気づいたこと。
――彼はそうとうチャラそう。