首取り様4
しかし、智子と亮一を探し始めてまもなく4人の前に黒い化け物が出現したのだ。


それを目の前にして4人は足を止めてしまった。


「あの化け物、夜にしか現れないんじゃなかったの!?」


佳奈が悲痛な悲鳴を上げる。


黒い化け物の、刃物になった手がすでに血に濡れていたのだ。


「今まではその法則の中で動いていた。だけど地蔵が動けるようになった今、その法則はなくなったんだ」


明宏が歯ぎしりして説明する。


敵は地蔵だけではなかったのだ。


「地蔵と化け物同時に相手にしろってのかよ」


大輔が苦しげに呻く。


いくら武器を持っていたとしても、強力な敵が複数いる状態では丸腰と変わらない。


「爆竹でひるませるから、逃げよう」


佳奈の提案に誰もが反対しなかった。


ポシェットの中から人束の爆竹を取り出して火を付ける。


幸い化け物たちは襲う対象が多くて、こちらの行動には気が付いていなかった。


化け物は近くを逃げ惑う人々を1人残らず殺そうと、腕を振り回している。
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